文学賞である直木賞や芥川賞の名前を一度は耳にした事がある方は多いと思いますが、実際にどのような賞なのか知らない方も多いのではないでしょうか?
本記事では、直木賞とはどのような賞なのかを、選考対象、選考期間などとともに解説しています。
また、直木賞と併せてよく耳にするであろう芥川賞との違いについても触れています!
直木賞とは?
正式名称は直木三十五賞。作家の直木三十五の名前に由来します。彼の死後、昭和10年(1935年)に彼の友人であり文藝春秋の創業者である菊池寛氏によって設立されました。現在は日本文学振興会によりの選考・授与が行われています。
選考対象は「新進・中堅作家のエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)」で、選考会は年に2回(7月と1月)あります。
上半期の選考会は7月中旬に行われ、前年12月から5月までに発表された作品の中から選ばれます。
受賞作は「オール讀物」9・10月合併号に一部掲載されます。
下半期の選考会は翌年1月中旬に行われ、6月から11月までに発表された作品の中から選ばれます。
受賞作は「オール讀物」3・4月合併号に一部掲載されます。
上半期の場合、6月中旬に候補作品が発表され、7月中旬に選考会が行われ、8月中旬に贈呈式が行われます。
また、受賞作家へは、正賞として懐中時計、副賞として100万円が贈呈されます。
選考会場は東京・築地の料亭「新喜楽」の2階で行われます。
ちなみに1階では後ほど解説する芥川賞の選考会が行われます!
直木三十五とは?
直木三十五の本名は植村宗一で、直木三十五は彼のペンネームです。植村の「植」を分解すると「木」と「直」になり、それを逆にして「直木」です。
三十五は彼が三十一の時に直木三十一と名乗り、その後歳を重ねるごとに三十二、三十三と変化し、三十四は使用せず三十五に落ち着いたそうです。
1891年(明治24年)に大阪市南区内安堂寺町で生まれます。
小中学校卒業後は薬局勤務や小学校の代用教員を経て早稲田大学英文科へ進学しますが学費を滞納し中退。
関東大震災後の大正12年、大阪に戻り雑誌の編集、映画を制作など多岐にわたる活動を行い、時代小説、大衆小説を次々と執筆します。
代表作である「南国太平記」で人気となりますが病気や借金に苦しみ、昭和9年、43歳の時に結核性脳膜炎で東大病院にて生涯を終えます。
直木三十五の友人であった菊池寛氏が彼の死後1年後に「大衆文学の歴史を変える貢献」として「直木三十五賞」を創設し、現在も続いています。
直木賞と芥川賞の違いとは?
芥川賞の正式名称は芥川龍之介賞。
こちらも作家である芥川龍之介の名前に由来し、直木賞と同じく、芥川龍之介の友人であり文藝春秋の創業者である菊池寛氏によって昭和10年に直木賞とともに創設されました。
直木賞との大きな違いは、選考対象で、「雑誌(同人雑誌を含む)に発表された、新進作家による純文学の中・短編作品」が対象です。
選考時期は直木賞と同様で、7月中旬に行われた選考会での受賞作は「文藝春秋」9月号に全文が掲載され、翌年1月中旬に行われた選考会では、「文藝春秋」3月号に全文が掲載されます。
選考会場は直木賞の選考会が行われている料亭「新喜楽」の1階です。
受賞作家へ送られる正賞・副賞は直木賞と同じです。
下記に二つの賞の違いと共通部分をまとめてみました!
賞の名前 | 直木賞 | 芥川賞 |
正式名称 | 直木三十五賞 | 芥川龍之介賞 |
対象作家 | 新進・中堅作家 | 新進作家 |
対象作品 | エンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集) | 雑誌(同人雑誌を含む)に発表された、純文学の中・短編作品 |
選考会場 | 料亭「新喜楽」2階 | 料亭「新喜楽」1階 |
選考時期 | 年に2回(7月と1月) | |
創設年 | 1935年 | |
創設者 | 菊池寛氏 | |
選考・授与 | 日本文学振興会 | |
賞 | 正賞:懐中時計、副賞:100万円 |
過去の受賞作品を読んでみよう!
同時期に行われる直木賞と芥川賞ですが、ダブル受賞は不可となっています。
ただしどちらの賞も、2作同時受賞は可能です。
ここでは2作同時受賞した過去の受賞作品を一部ご紹介します!
2021年上半期の165回の芥川賞では2作同時に受賞作品が選ばれています。
受賞作品 | 受賞作家 | 掲載誌 |
貝に続く場所にて | 石沢麻依 | 群像 |
彼岸花(ひがんばな)が咲く島 | 李琴峰 | 文學界 |
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2023年上半期及び下半期の169・170回の直木賞では二期連続の2作同時受賞がありました!
受賞作品 | 受賞作家 | 掲載誌/出版社 | |
169回 | ともぐい | 河﨑秋子 | 新潮社 |
169回 | 八月の御所グラウンド | 万城目学 | 文藝春秋 |
170回 | 極楽征夷大将軍 | 垣根涼介 | 文藝春秋 |
170回 | 木挽町のあだ討ち | 永井紗耶子 | 新潮社 |
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ぜひ他の受賞作品と併せてチェックしてみてください!
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